狭間有事 作品リスト

 

鮮血海ヨリ明日ヘ告グ

2017/05/05 公開

3,641文字

https://syosetu.org/novel/120782/

艦これ二次創作。戦闘機械が明日を想う物語。 

 

神蟲戯師の夢

2017/06/05 公開(ツイートは2017/01/02)

6,800文字

https://syosetu.org/novel/123980/

術師の主人公が弟子を取る話。


艦これ創作「日報」

2018/04/17 公開

6,323文字

http://hazamayj.hatenablog.com/entry/2018/04/17/192924

艦娘たちの綴る日誌。


アイの代償

2018/05/27 公開

12,014文字

https://syosetu.org/novel/158765/

アンドロイドとヒトの物語。

 

To be continued.

2018/06/06 公開

14,600文字

https://syosetu.org/novel/159741/

戦闘用アンドロイドが自分の在り処を問う物語。


願い

2018/07/08 公開

2,247文字

https://syosetu.org/novel/162577/

『アイの代償』の番外編。


ちんぽを握って天国へ飛べ!

2018/09/03 公開

5,139文字

http://hazamayj.hatenablog.com/entry/2018/09/03/190047

下品。


ぼきとじいさんとちんぽ

2018/09/03 公開

1,563文字

http://hazamayj.hatenablog.com/entry/2018/09/03/190033

最低。


不適

2018/11/08 公開

5,000文字

http://hazamayj.hatenablog.com/entry/2018/11/08/231320

共感についての短い物語。


残響

2019/02/03 公開

20,038文字

https://syosetu.org/novel/181901/

艦これ二次創作。苦悩する響の物語。

セックスロボットの倫理

※これはボツになった僕の卒業文集です

 

僕について、危険思想の過激派という認識が定着していますが、それは全くの誤解で、僕は穏健な人権派です。セックスロボットについて積極的に賛同するくらいには。というわけで今回はその話です。

セックスロボット(以下、SR)。SFじみた単語ではありますが、実現は遠い未来というわけでもなく、既に是非を問う議論は始まっています。

僕はこのSRを、多くの人々を助ける希望だと考えています。例えば老人について。老人と性交したいと思う者は少なく、老人が性的に満たされることはきわめて稀です。例えばペドフィリアなどに代表される、社会的に決して許されない性愛を持っている人々について。性的な欲望を合法に実現する手段をほぼ、あるいはまったく持たない彼らの、その苦しみはどれほどのものでしょうか。技術の進歩が彼らを助けることができるなら、それは諸手を挙げて歓迎するべきことです。

裸眼での視覚に困難を持つ人々を、眼鏡が助けていることに疑いの余地はないでしょう。普通の人が当たり前に享受している自由を、困難を抱えた人でも享受できるようにするという点で、SRと眼鏡には何の違いもありません。SRは工業製品として造られます。つまりモノです。だからその所有者は、SRをどう扱ってもよい。幼児に性的暴行を行うことは決して許されません。しかし、幼児型のSRを殴ることは、そのSRが自身の所有物であるなら何も問題がないのです。

もちろん、嫌悪を感じる方も多くいるだろうとは思います。しかし、ヒトを模して造られているからといって、本質的にはオナホールと何ら変わらないSRへの共感で、人間の幸福追求の機会の拡張を妨げるべきではありません。

老人やペドフィリアを、積極的に助ける必要があるとまでは感じない方も、SRの普及を拒むことはできないと僕は考えます。明らかに、SRは多くの人々を救う一方、誰の権利も侵害しません。女子割礼に反対する倫理的根拠はあっても、隣人の昆虫食を妨げる倫理的根拠はないのです。技術の進歩が、苦しんでいるように振る舞う機能を持つSRを可能にしたとしても、SRはモノであり、苦しむ機能を持たず、被害者ではありません。SRは苦しんでいるように振る舞うだけです。SRは人間ではありません。SRは黒人ではないのです。

ここで、幼児型SRの普及によって未成年に対する性犯罪が増加するとお考えの向きには、一般的に人間が有している程度の自制心が、ペドフィリアの人々に限って有意に低いとすることの差別性について考えていただきたく思います。ついでに、エロ漫画の規制に関する諸々の議論を参照していただければ、この件を考える上での参考になるかと思います。

世界には不愉快なものが多くあります。それは当たり前のことです。しかしその不愉快を社会から排除することは、本当に正当なのでしょうか。多様化が進むこれからの時代、今までの常識で判断すれば許しがたいと思えるような物事も多く登場するでしょう。だからこそ、不愉快を叫ぶ前に一度立ち止まって、自身の態度の論理的一貫性を常に確認する、そのような態度がわれわれに求められているのではないでしょうか。

不適

 高二の夏、夏休みに入る少し前のことだった。夕暮れ時の教室は蒸し暑く、長く伸びたぼくらの影と遠くから聞こえる運動部の掛け声だけが、今でも奇妙に生々しく思い出される。

 おかしなことだ。本当なら、杉村さんの顔や声色を思い出すべきなのだろうに。けれどぼくはどうしてもそれを思い出すことはできないし、きっとそれが、ぼくの罪なのだと思う。思い出せるのは背景の雑音と、話した内容だけだ。

 ぼくは杉村さんに告白した。杉村さんは最初、ぼくの求めを断った。不釣り合いだと彼女は言った。ぼくが否定すると、彼女はこう応えた。

「わたしは『不適』だから。高校卒業と同時に『終了』することにしている」

 動揺は表に出ていなかっただろうか。ぼくはそれを知り得ない。

「……構わない。きっと君に、生きることを幸せだと思ってもらえるように。約束しよう」

 曖昧な記憶は、しばらくの逡巡ののち、杉村さんがぼくの求めを承諾したと伝えている。

 

 二十二世紀も半ばを越え、自己決定権は、今や大きく拡張されている。

 近代以降、人口は爆発的に増加し、それとはおそらく無関係に、倫理観もまた爆発的な向上を見た。あまたの正義が、倫理が、道徳が、勃興しては後進の踏み台となり、巨大な堆積をなす。

 数十年前にその堆積の頂上にあったものが、自己決定権だった。

 今となっては、人間に自殺の権利があることを疑う者はほとんどいない。誰もがそれを当然のように受け入れている。

 『不適』と呼ばれる人々がいる。さまざまな理由で、人生が苦痛である人々のことだ。人生に適さなかった人たち。前世紀ならばその語は、強い侮蔑を含むものとして糾弾されたかもしれないが、人生に適さないことが個性として受け入れられた現代では、その語に侮蔑を見出すことこそむしろ内なる差別意識の発露として受け取られる。適さないという言明は、事実を述べただけであっていかなる価値判断もそこにはない。とされる。

 運動に不適の者に運動を強いることは虐待である。ならば人生に不適の者に、人生を強いることは虐待ではないか。

 そうして政府は、不適の人間が、苦しまずに人生から解放される手段を用意した。『解放器』と俗に呼ばれるその装置は、市民に開放されている。もちろん、その使用は基本的には責任能力のある成人に限定されており、それは小学生が投票権を持たないのと同様の理由による。

 卒業を間近に控えたあの日、杉村さんは十八歳の誕生日を迎えていた。

 

 杉村さんと付き合い始めたあの日から、ぼくは彼女に、生きることの楽しさを知ってもらおうとした。彼女を遊びに連れ出した。映画を見に行ったし、総合遊戯場にも行った。彼女とできるだけ会話をするように努めた。ぼくらは小説の話で盛り上がったし、クラスメイトの噂話もした。一緒に勉強することも多々あった。

 杉村さんはぼくと付き合いだしてから、よく笑うようになった。ぼくは彼女のその変化を好ましいことだと思った。生きていれば、確かにつらいこともある。けれどこの世界には、喜びだって溢れている。世界はそんなに残酷であってはいけない。

 刷毛で描いたような雲が空に貼り付いていた秋晴れの日、ぼくらは連れだって港湾地区の公園に出かけた。

 港の水は澄んでいて、水母がゆらゆらと漂っていた。彼女はぼんやりと水面を眺めながら、ときおりぼくの顔を見て、それからまたあてもなく漂う水母の方に視線を戻した。

「水母は好き」と杉村さんは言った。

「わたしは水母が羨ましい。きっと、あんな風に生きることができたなら」

 それから小石を海に投げ込んだ。水の跳ねる音は聞こえなかった。

「何も考えないで済んだのに」

「……でも杉村さんは」ぼくは言葉を探した。「水母を好きだと言った。水母はきっと、何かを好きになったりしない」

「そうだね。わたしもそう思う」

 彼女がどんな表情をしていたか、ぼくはもう思い出せない。

 

 他者の内面は、決して知ることができないと、これはよく知られたことだ。隣に座っているクラスメイトが、内面があるかのように振る舞う機能を持っているだけのロボットだとしても、ぼくは彼を人間だと思うだろう。

 人間は、自分に置き換えて他者の内面を手前勝手に推し量る。殴られれば痛い。誰かが殴られているのを見れば、その痛みを想像する。共感によってぼくらは繋がっていて、お互いを内面ある存在と認め合っている。

 けれど他者の内面は、存在しないか自分と同じかの二択ではない。異質な内面というものもまた存在する。いや、他者に内面が存在するならば、それは自分とはきっと異質なものになるだろう。ぼくらはそのことを当たり前に受け入れていて、当たり前に忘れている。

 あなたの赤がわたしの赤であるかをわたしは知らない。わたしの赤はわたしの赤だ。

 

 高三になっても、ぼくらの関係は変わらなかった。幾人かの友人は、早く社会に出たいと言って受験の準備を始めていたけれど、多くの人がそうするように、ぼくもまた最後の年を高校生として生きることにしていたし、杉村さんもそうだったからだ。

 そうして春が過ぎ、雨季が去り、長い夏が来て秋は一瞬で終わり、冬もそろそろ明けようかというころ、ぼくらは高校生活最後のデートに出かけた。卒業は間近に迫っていた。

 待ち合わせの時計塔から少し歩いて、自走車を拾った。対面で乗り込むと、ぼくらは丘の方に自走車を走らせた。

「そろそろ誕生日だけど、何か欲しいものはある」とぼくは問うた。

「……特には。いまは思いつかない」

「何か考えておいて。迷っているなら、誕生日を過ぎてからでもいい」

「わかった」と彼女は微笑んだ。

 沈黙が車内を支配していたけれど、ぼくにとってその沈黙は苦ではなかった。

 丘のふもとで自走車を降りた。上まで乗って行ってもよかったけれど、歩きながら杉村さんと話したかったから。

 ぼくらはゆっくり坂道を上った。とりとめもないことをいくつか話したように思うが、内容はもう忘れてしまっている。

 展望台から見た街並みは、夕日を浴びて輝いていた。水平線の少し上に夕日が叫んでいて、海は金色の草原のようだった。

「きれい」杉村さんが呟いた。

 ぼくは何か言おうとして、結局言葉を呑みこんだ。この光景の前では、ぼくの言葉はどうしたって不釣り合いだと思ったから。

「あの海の下には水母がいる」

 杉村さんは手すりにもたれかかってそう言った。

「水母はきっと、この景色を見ないし、見ても何もわからない」

 ぼくもその通りだと思った。けれどぼくの思いは、杉村さんのそれとは大きく違っていたのだろうと、今のぼくは素朴にそう考えている。

 一週間後、三月九日の金曜日。卒業式を二日後に控えたあの日、杉村さんは自分自身を終わらせた。ちょうど二日前に、彼女は誕生日を迎えていた。

 

 杉村さんが自分自身を終わらせてからひと月後、いまだ混乱と悲嘆の中にあるぼくのもとに、彼女の遺書が届けられた。

『この手紙は、わたしが終了してからちょうど一カ月であなたのもとに届くようにとお願いしていました。変わらずお元気ですか。お元気であればよいなと思います。

 あなたを傷つけるのは本意ではありません。けれどきっとこの手紙はあなたを深く傷つけると思います。だから望まないなら、今ここで読むのをやめてください。わたしはそれでも一向に構いません』

 ぼくは震える手でゆっくり紙をめくった。

『読み進めているということは、傷つく覚悟があるということだと思います。だから直截に言います。わたしはあなたを嫌っていましたし、憎んでいます。

 わたしは昔から、人の頼みを断るのが本当に苦手です。和を乱すのが本当に怖いです。だからいつもヘラヘラしています。わたしが不適なのはこういう理由です。人間の中で、社会の中で暮らせばわたしはいつもつらい思いをします。わたしは本当は人の頼みなんて聞きたくありません。人間が苦手です。何もしないで、独りでぼんやりするのが好きです。けれど和を乱すのが本当に怖くて、いつも断ることができません。

 だから一年半前のあの日、わたしはあなたの求愛を断れませんでした。本当は嫌だったけれど、あなたは真摯で誠実だったから、断ることができませんでした。

 あなたの善性は疑っていません。きっととても優しくて、とても誠実ないい人です。社会にいるべきなのはあなたのような人です。わたしのような不適の人間ではなく。

 最後は、ずっと前から決めていました。中学に上がった時にはもう、十八歳になって、成人したら、自分で選んで死ねるようになったら死のうと思っていました。だから残された日々は、せめて平穏に暮らしたかった。けれどわたしはあなたに平穏を奪われました。わたしは最後の時間を奪われました。

 あなたのせいです。でもあなたが悪いわけではありません。最後の時間とわかっていても、それでも断ることのできなかったわたしが悪いです。それだからこそわたしは不適です。ヘラヘラ笑ってその場を耐えるだけで、本当のことは何も言えないわたしはだから不適です。

 ジレンマです。不適だからあなたの求愛を断れなかった。でももしわたしがあなたのようにまともだったら、断ろうなんて思わなくてもよかった。

 だからやっぱりあなたが悪いです。悪意がないことはわかっています。でもやっぱりあなたが悪いです。

 わたしは水母になりたかった。いつか海を見に行ったとき、水母を見たと思います。あのとき言ったことがわたしの気持ちです。水母は何も考えないでいい。ただ漂っているだけでいい。何かを好きになんてならなくていい。わたしは彼らのように生きていたかった。

 でもわたしは人間でした。だから苦しみました。人間でなかったら苦しまなくてよかったのかは知りません。わたしは他者を知ることはできません。もしかすると水母も悩んだり苦しんだりするのかも知れない。けれどそれはどうでもいいことです。わたしの苦しみは、わたしが消えてなくなれば終わるからです。

 もっと世界が進歩したら、わたしのような人間も幸せに暮らせるのかも知れない。そう思うと羨ましくて仕方ありません。でもわたしはそれを待つことはできません。

 わたしはあなたを憎んでいます。でももう憎むのは終わりになります。死んだあとでも憎み続けることはできません。わたしは死にます。

 あなたには本当に、心の底から申し訳なく思います。わたしのためだけではなく、あなたのためにも、あの日わたしは断るべきでした。

 ごめんなさい。さようなら。

 追伸:この間の夕焼けは、素晴らしいと思いました。あなたが何も言わなかったから』

 

 それから二日後、ぼくはぼくを終了することにした。罪はあるけれど、これは自罰ではない。理由はただ、ぼくが不適だからだ。これ以上の罪を重ねないためにぼくは終わる。

 人生に不適の者に、人生を強いることは本当に楽しかった。ぼくはそういう種の不適だ。思えばぼくは杉村さんが幸福と信じて疑わなかった。自分が杉村さんを幸福にしているのだと思い上がっていた。ぼくは社会に生きることはできない。ぼくは過剰な共感を持ち、思考が自分の側に寄りすぎている。

 くだらないメサイアコンプレックスだ。おせっかいで、傲慢で、相手のことなど何も考えていない。誰かを助けるのも自分のためでしかない。杉村さんのことなんか、何も覚えていない。杉村さんのためではなかったから。杉村さんはぼくの自己満足のための対象でしかなかったから。

 そうしてぼくは一人の人間の幸福を殺した。

 ぼくには今でもわからない。どうして彼女が、そんなに人間を怖がるのか。どうしてそんなに人生をつらく感じるのか。わからないから相手を自分の側に引き込もうとした。だからぼくは不適だ。生きることにぼくは向いていない。正義でありたいのに正義ではありえない。過剰で異常な共感がぼくに他人を救わせてくれない。ぼくは他人を不幸にする。

 ぼくは不適の自分を終わらせる。せめてこれ以上、ぼくが誰かの幸福を殺さないように。

 さようなら。ぼくは人生がつらいわけではなかったけれど、誰かを殺し続けるよりは、死ぬことを選ぼうと思う。

ちんぽを握って天国へ飛べ!

山崎宏は30代・童貞・底辺労働者である。いわゆる社会の最下層と呼ばれる人間であり、それは自他共に認めるところであった。山崎宏はいわゆるイケメンではなかった。それどころか、一般にはオタク的とされるキモ・フェイスの人物であった。肌は荒れ、目は小さく、それでいて無駄に鼻が大きい、さながらスターウォーズのトイダリアンのような顔をしていた。

しかしながら彼はオタクでもなかった。彼は無趣味であり、およそ友人と呼べる人間は一人もいなかった。そもそも彼の労働時間および収入からすれば、オタク・生活を営むことなど到底不可能であった。一般に社会の下層とみなされているオタクたちが、実はある程度の成功を収めている人間であるという事実を、世間は偏見に目を曇らせていて知ることがなかった。

山崎宏は社会を憎んでいた。しかし彼は無学な底辺労働者であったので、漠然と社会を憎むばかりでそれ以上考えを進めることはなかった。もし彼に日頃から考えを進める習慣があったとしても彼の現在ある不愉快な状況は好転し得なかっただろうから、その習慣の欠如はむしろ彼に許された唯一の幸福と言ってもよかった。

ある日転機が訪れた。その日山崎宏はブラックな長時間労働から解放され、ストロングゼロを胃の腑に流し込みながら(実のところ、彼はストロングゼロを美味いと感じたことはなかった。ただ飲まずにはやっていられなかったのだ。そしてその習慣は彼の財政状況を常に劣悪に留め置いていた)トボトボと帰路についていた。歩きながら彼は思った。社会が憎い。社会が悪い。漠然としたその憎しみは普段なら形を取ることがなかったが、しかしその日は風水のあれこれや星辰やその他の運命的条件があれやこれやでとにかく彼の脳には天啓とも言うべき着想が浮かんだ。そしてこれもまた摩訶不思議の理由によって彼の脳はその瞬間のみ、まともな論理的思考を可能としていた。

山崎宏は考えた。彼の現在置かれた至極不愉快で絶望的な状況は何によるものか、と。そして彼の思考はある結論を導き出した。すなわち、俺は既に詰んでいる、という。

現代社会は能力差別社会である。その他の要素も社会的地位の決定には寄与しうるとはいえ、個人の能力が最大の要因として無制限に認められていることは議論の余地がないだろう。そして山崎宏は端的に無能であった。特技と言えるものは何もなく、顔も悪ければ学もない。すなわち彼は現代の被差別民であった。その差別は正当なものとされていて覆す余地はほとんどなく、もちろん彼にはそんな能力はなかった。

しかしながら現代社会には一部の無能に対する救済も用意されていた。それはかわいそうランキングである。かわいそうであれば社会的救済の対象になる。すなわちいろんな理由をつけて金とか貰える。惨めではあるけれど今現在山崎宏があるのよりはマシな環境を許される。

山崎宏はこれらのことをトゥイッターを通して知っていた。彼も底辺労働者の常としてトゥイッターをやっていた。(上位民はトゥイッターをやらない。大半はフェースブックをやる。フェースブックをやっていることはそのまま社会的地位の高さを示しており、またいいねの数は社会的信用の表れであった。オタクはマジで頭がおかしいので上層も下層も大抵がトゥイッターをやり、これはオタクが偏見を受ける理由の一つとなっていた)だが悲しいかな、山崎宏はかわいそうではなかった。彼は顔がキモく、おっさんで、なんか全体的に薄汚れていた。誰も彼を助けたいとは思わなかった。助けるならかわゆい女の子とか、かわゆい動物とか、同情心や庇護欲をそそる存在を助けたいのであって、山崎のようなキモい男は見えないところで静かに死んでくれくらいに世間は思っていた。

前世紀の悪習である種差別主義はもはやその勢力を維持できず、動物愛護者の連合はでかい顔をして天下をのしのし歩いていた。彼らのお気持ちがそのまま規範となった。少なくともトゥイッターでは万事そんな感じだった。トゥイッターは虚栄に満ちたフェースブックよりも世の中の本質を的確に映していたので割と世間一般的にそんな感じだった。彼らの主張によれば、動物には苦痛を感じる機能があるので残酷な屠殺やペットの殺処分は行うべきではないということだった。彼らは自ら倫理的に優位にあることを任じており、半分の人間は非倫理的と呼ばれることを恐れたので彼らに追従した。半分くらいはなんかやかましいし大した実害はないので放っておいただけだった。

そうして種差別主義が表面的には失われ、しかし能力差別は依然として猛威を振るう経済・倫理的先進諸国において山崎宏のような人間は端的に動物以下であった。正確には、かわゆい犬や猫よりも軽んじられた。犬猫はかわゆいので人間たちの保護欲を煽った。わかりやすく煽った。山崎宏のような人間については、キモいのでできれば視界の外で死んでくれないかなと多くの人間が思った。多くの人間が思うことは我らが素晴らしき民主主義社会でそのまま正義と同義だったので、山崎宏は民意によってゴミとされた。

ここまで思考を進めて、山崎宏は激憤した。彼は無学な底辺労働者だったので激憤という単語の意味は知らなかったが、とにかくそんな感じでめっちゃ怒った。大した悪事もせず生きている俺を、無能でキモいというただそれだけの理由でこのような境遇に置くことは許せないと彼は思った。

しかし同時に、山崎宏の頭脳はその惨めな半生のうちで最も冴え渡っていたので、自分が完全に詰んでいることも理解できていた。社会は見たくないものを見ない。彼は社会にとって見たくないものであった。社会はかわいそうでないものを助けない。彼は社会にとってかわいそうでないものだった。社会は能力あるものを優遇し能力なき者を冷遇する。彼に特筆するべき能力はなく、仮にそんなものがあればこんな境遇にはいなかっただろう。彼は完全に詰んでいた。そしてついに、そのことを理解してしまった。

彼は手に持ったストロングゼロの缶を怒りのままに投げ捨てた。そうして叫んだ。「俺は世界が憎い!お前らが憎い!全てが憎い!」彼にはもう失って惜しいものがなかった。彼はもはや今後の人生に希望を持っていなかった。

彼は何やら訳のわからないことを叫びながらアパートの自室に飛び込み、手入れのされていない包丁を手にとって飛び出した。彼は包丁を月夜にかざして住宅街を走り抜け、ちょうどコンビニ前に停車していた自動車のガラスを叩き割ると、包丁で運転手を脅して車を奪った。彼は運転が上手ではなかったが、肉体労働者として最低限必要とされるレベルの運転能力はあった。彼は駆けた。適当に運転して大通りに出ると、標識で東京の方角を確認して進路を東京に向けた。彼は運転に不慣れだったので国道4号線に出るまでに幾度も迷い、相当の時間を必要としたが、そのおかげで幸か不幸か警察の追跡をかわすことができた。そうして彼は欺瞞の街、東京に向けて国道4号線を爆走した。法定速度を守り、適宜休憩を挟みながら爆走した。彼が荒川を越え、隅田川を越え、千代田区に入ったのは翌日の昼ごろのことであった。

その日は日曜日であった。彼のような底辺労働者にとって曜日は意味を成さなかったが、人の多いことは彼にもわかった。彼らは一様に幸福そうな表情を浮かべており、中にはカップルなどもおり(つまり無期相互売春契約を結んだ2人ということだ)、買い物(彼はここ数年娯楽のために何かを買ったことがなかった)をしている者も多くいた。彼はそれを許せないことだと感じた。彼は東京の地理に不案内だったのでその街がなんという名で、どのような場所なのかは知らなかった。しかし彼はもうここでいいやと思った。そうして彼はおもむろに歩行者天国に向けてアクセルを踏んだ。

歩行者天国は悲鳴に溢れた。たくさんの人が跳ね飛ばされ、引き潰され、死んだり重傷を負ったりした。山崎宏は狂喜に包まれて叫んだ。「俺は無敵の山崎だ!俺を殺してみろ!俺は不死身ではないがいつ死んだって構いやしねえんだ!」永遠のように長い1分間であった。彼は興奮のあまりハンドルと間違えて自分の勃起したちんぽを強く握った。車体はガードレールを超えて歩道に突っ込み、雑居ビルに衝突して停車した。メイド・イン・ジャパンのエアバッグは優秀だったので彼は無事で、そのまま包丁を手に大通りに飛び出しそこからさらに4人の男女を刺殺し2人の男に重傷を負わせた。駆けつけた警官に向かって彼は訳のわからないことを叫んで飛びかかり、ニューナンブM60の弾丸が彼の心臓を貫通したので彼は死んだ。

彼が死んだ後、マスコミは彼の部屋を粗探しした。彼には書籍を所有するような、あるいはゲームをするような余裕はなかったのでマスコミは望むような物品を見つけることはできなかったが、そこは粗探しとでっち上げのプロのこと、彼の携帯端末からエロ同人違法アップロードサイトへのブックマークを発見し、それを以て全力でオタクへのバッシングを行なった。彼は実際のところその同人誌に描かれたキャラの元ネタなど一切知らずシコっていたのだが、そんな事情はマスコミの知ったことではなかったのでマスコミとオタクの紛争はひどいものになった。

山崎宏は憎まれた。ひどく憎まれた。遺族から憎まれ、オタクから憎まれ、そして全国民の憎しみの対象になった。彼の名前は不名誉なものとして長く語られるはずだった。

しかしそうはならなかった。彼が死んでから2年後、突如として戦争が勃発した。中華人民共和国の内紛に端を発するその戦争は瞬く間に全世界に拡散した。全ての歯車が狂い、何もかもがめちゃめちゃになった。日本もその例外ではなかった。戦争の初期に使用されたハインリヒ=八島粒子は電波通信を阻害し、またヘルムゴールドの理論に基づくニュークリア・ジャマーは核分裂反応を抑制することを可能にした。こうして現代戦のあらゆるドクトリンは先祖返りを起こした。人類は三度目の世界大戦を、無線と核兵器なしで戦うことになった。予備役がかき集められ、加えていくつかの国では徴兵も復活した。志願兵も多く出た。老人や女性も、金持ちも貧乏人もナショナリズムに燃え、自分にできる形で祖国の勝利に貢献しようとした。

そんなこんなで日が落ちて、戦争は終わった。核兵器を使わずとも人類は世界をめちゃめちゃにできた。戦争は結局無条件和平で終わった。日本は焼け野原になった。いろんな国が焼け野原になった。瓦礫の中から、人類はもう一度全てをやり直すことにした。

戦争は多くの命を奪ったが、そのもたらしたものは不幸だけではなかった。既存の体制がぶっ壊れたことで既得権益の多くが失われ富の再分配が起こった。総力戦は国民に同胞意識をもたらした。分断の世紀は戦争とナショナリズムによって終焉を迎えた。戦後復興は経済成長を生み、経済成長は人々に幸福を与えた。悲劇もあった。ひどい悲劇があった。しかし幸福がそこにはあった。同胞国民が手を取り合う時代がそこにはあった。下層民が希望を見れるようなそんな時代がやってきた。山崎宏のような30代・童貞・底辺労働者も希望を見れる時代がやってきていた。実際に彼らは幸せを掴んでいた。

けれどもそこに山崎宏はいなかった。山崎宏は新しい時代を迎える前に死んだ。山崎宏の名前はもう誰も思い出さなかった。彼の殺した数十人の命は、戦争で死んだ数百万人の命に比べてあまりにもちっぽけでまあ誤差と言って差し支えなかった。一人の死は悲劇でも、統計的な死者の大軍の前で悲劇はあまりに無力だった。彼は全てを失って、失っただけだった。

あるいは彼があの日惑わされることがなかったなら、彼は戦争の時代を生き抜いて、希望の時代までたどり着けたかもしれない。彼の詰みは全部全部リセットされて、それなりに幸せに希望を見ることもできたかもしれない。しかしそれらの想像は全て無意味である。彼は死んだ。たくさんの命を道連れに死んだが、彼の死も、犠牲者の死も、大局的には完全に無意味であった。彼は結局最後まで何もできないままであった。

私は窓の外に目をやった。そこには復興してゆく日本があった。この国は活気に満ちている。良い時代が来るだろう。

私は笑った。彼の不幸を。どうしようもなく頭が悪く、そして運が悪かった山崎宏という男のことを。こうして山崎宏についてを書き残して、私にしても彼のことはたぶん二度と思い出さない。

さようなら山崎宏。君が天国に行けたとは思わないけれど、虚無でさえも君の人生よりはマシなんじゃないかな。たぶん。

ぼきとじいさんとちんぽ

「ところで、ちんぽは、あるんじゃろうか!」

老人はそう言い放つなり手に持ったワンカップをぐびっと飲み干した。

「だから、金持ちと、政治家には、ちんぽがあるのかと聞いているんじゃ!おい待て!逃げるな!ワシはな、金持ちと政治家にちんぽがあるのかと聞いておるんじゃ!」

ゲフッと下品な音を立てて老人はゲップを一つ、それから屁をこいてガッハッハと笑った。

「そんなもん、あるに決まってるがな。じいさん」

ぼきは考えるのが面倒だったので適当な答えを返して、さっさとこの老人を撒いてしまおうと思った。なんか妙に臭かったし、関わってもロクなことはなさそうだった。

「なんでやねん!奴らにちんぽがあったら、ワシは、ワシはどうしてこんなに貧乏なんじゃ」

老人はそう放言してぼきの顔面に向かってワンカップの瓶を投げつけた。

「何しやがるジジイ!危ないだろうが!」

ぼきは怒りに肩を震わせ、お返しにストロングゼロの缶を老人に投げつけた。ストロングゼロの酩酊液体は宙を舞い、それから老人の薄汚いジャンパーをびっしょりと濡らした。ものすごい匂いがした。

「若造!何しやがる!」

老人はいきり立って腰を上げ、そのまま前につんのめった。

「ジジイ!歳を忘れるなよ!」

ぼきの隣のにいちゃんがそう言って笑った。老人は何やら憎しみのこもった目でこちらを見ていたが、ぼきは面倒だったので空を見上げて吹けもしない口笛を吹くまねをした。

「歳なんてなぁ、歳なんてなぁ、取りたくなかったんだがなぁ、取ってしまったものは仕方ないからなぁ」

老人は突然泣き始めた。

「どうしてこんなに世界はひどいんじゃろうなぁ。いい思いしている奴ら、全員、顔面にクソを塗りたくってやりたい」

ぼきもそれには同感だったので、静かにうなづいてみせて、それから老人にこう言った。

「悪かったな、じいさん」

「おい、行くぞ、おい」

にいちゃんがぼきの袖を引っ張る。ぼきはゆっくり立ち上がって、老人のしわくちゃの顔を見た。

「じいさん。これやるから機嫌直してくれ」

老人は手渡されたストロングゼロの缶をしばらく眺めると、おもむろに酩酊液体を喉に流し込んだ。

「なんもかんも政治家が悪いんや。奴らが金をたんまり持って行くもんで、ワシみたいな底辺労働者には酒に溺れるしか楽しみがないんじゃ。政治家と金持ちがいなければワシは今頃一軒家に住んで嫁さんもろうてたんかな」

突然老人は目に涙を浮かべて語り始める。

「ワシも昔は若かったんじゃがなあ。もう今じゃどうしようもないジジイじゃ。生きてるかいもない」

ぼきはそろそろ飽きてきたので老人の一人語りを無視して立ち去ろうと背を向けた。ぼきは飽きっぽいことで有名だ。

「おい!そこの、そこのお前たち、よく聞け、世の中はな、政治家と金持ちが悪いんや!」

「じいさん、今日は早く帰って寝た方がいいぜ」

「ちんぽじゃ!ワシのちんぽはまだ生きてるんじゃ!ならばワシにできないことはない!おい、お前、金持ちはどこにいる」

ぼきは早くこの老人を追い払いたかったので適当を言った。

「この道をずっとまっすぐ行けば東京の真ん中だ。東京の真ん中には金持ちと政治家がいるんだ」

老人は途端に目をぎらつかせて叫んだ。

「よし!ならばワシはこのちんぽと一緒に奴らのちっぽけなちんぽを倒しに行くんじゃ!」

「やったれやったれ!じいさん!」

老人は肩を怒らせてずんずん歩き、やがて地平線の向こうに消えてしまった。

「ちんぽ!ちんぽ!ちんぽ!」

三唱したのち、ぼきとにいちゃんは反対方向に向かって歩き出した。

3日後、老人が逮捕されたというニュースをぼきは定食屋のテレビで知った。あれはぼきの将来の姿だと思ってなぜだか涙が出た。ぼきはちんぽしか取り柄がない、あの老人にいつかなるんだと思った。

SCP-███-JP [風邪撒きの文字書き]

オブジェクトクラスEuclid Neutralized Euclid Keter

特別収容プロトコルSCP-███-JPは、人型実体のSCP-███-JP-Aおよび後述するSCP-███-JP-B群から構成されます。SCP-███-JP-Aはセクター-██の標準人型SCP収容所██に収容されます。収容所の出入り口には常に一人以上の武装した監視員を配置してください。SCP-███-JP-Aの健康状態は可能な限り良好に保たれる必要がありますが、実験を行う場合においてはその限りでなく、致死率の十分に低い感染症については、SCP-███-JP-Aに感染させることが認められています。そのため、通常の健康管理のために専門の医療スタッフを24時間体制で待機させ、また実験を行う際にはこの医療スタッフの指導のもと行うようにしてください。実験時を除いて、SCP-███-JP-Aにテキストを記述することが可能ないかなる道具も与えてはなりません。また、いかなる場合においても、SCP-███-JP-Aがインターネットに接続することは許可されません。そのため、SCP-███-JP-Aと接触する職員は、インターネットに接続可能、または他の情報端末とのデータの送受信が可能な、いかなる情報端末の携帯も許されないことに留意してください。SCP-███-JP-B群は確認された順に1~12までの番号が振られていますが、現時点でその全てが異常性を喪失しており、これらは全てセクター-██の低危険性物体保管ユニットに保管されます。今後、新たなSCP-███-JP-Bが発生した場合には、既に異常性を喪失したSCP-███-JP-B群とは別に、これもセクター-██の低危険性物体保管ユニットに保管してください。

SCP-███-JPは、人型実体のSCP-███-JP-A群および後述するSCP-███-JP-B群から構成されます。SCP-███-JP-A群は発見順に1~██までの番号が振られており、いずれもエリア-██の特別人型SCP収容所██に収容されます。SCP-███-JP-A群の健康状態は可能な限り良好な状態に保たれる必要があり、SCP-███-JP-A群はあらゆる感染性の疾患から隔離されて収容されます。SCP-███-JP-A群の健康維持のため、エリア-██には専門の医療スタッフを24時間体制で待機させてください。また、いかなる場合においてもSCP-███-JP-Aにテキストを記述可能な道具を与えることは許されず、SCP-███-JP-Aがインターネットに接続することは決して許可されません。SCP-███-JP-B群は確認された順に1~████までの番号が振られています。これらは全てエリア-██の低危険性物体保管ユニットに保管されます。SCP-███-JPに対するいかなる実験ももはや許可されることはありません。

説明:SCP-███-JP-Aは身長168㎝、体重54㎏、現在2█歳の平均的な日本人男性です。容姿に特筆すべき点はなく、肉体的にはやや虚弱体質の傾向があるものの、日本人の平均を大きく逸脱するものではありません。SCP-███-JP-Aの肉体的な健康状態は現在に至るまで概ね良好ですが、精神面は収容直後から非常に不安定であり、収容から現在に至るまでに4度の自殺を試みています。また財団に対しては極めて非協力的な態度を示しており、財団職員に対する暴力的行動も複数回確認されています。

SCP-███-JP-Aは重度かつ慢性的なインターネット依存症の状態にあり、これは通常の治療では回復しないことがわかっています。精神の安定はインターネットへの接続により多少緩和されると推測されていますが、これは後述するSCP-███-JP-Aの異常性により許可されません。

SCP-███-JPの異常性は、SCP-███-JP-Aが何らかの感染性疾患を発症している場合に発現します。何らかの感染性疾患を発症した状態にあるSCP-███-JP-Aが、テキストとして自身の症状を記述した場合、この記述を読んだ人物は24時間後にSCP-███-JP-Aと同じ疾患を発症します。このSCP-███-JP-Aによって記述されたテキスト群をSCP-███-JP-Bと呼称します。この現象は当該疾患の一般的な潜伏期間を無視して発生することがわかっており、SCP-███-JP-Bを読んだ場合にこの現象を回避する方法は、現在のところ発見されていません。

SCP-███-JP-Bは、SCP-███-JP-Aが当該疾患から回復した時点でその異常性を失います。また、Dクラス職員を用いた実験により、SCP-███-JP-Aが同種の疾患に再度感染した場合でも、一度異常性を失ったSCP-███-JP-Bが再度、異常性を示すことはないと確認されています。

収容以前のSCP-███-JP-Aに関する調査から、SCP-███-JP-AによるSNS掲示板サイトなどへの投稿もSCP-███-JP-Bになりうると推測されており、インターネット上にSCP-███-JP-Bが拡散した場合、予測不可能かつ極めて甚大な被害を人類社会に与える可能性が示唆されています。そのため、SCP-███-JP-Aのインターネット接続は、いかなる場合にも許可されていません。また、収容以前にSCP-███-JP-Aによって記述されたSCP-███-JP-Bが現時点でも多数存在していると推測されますが、それらのSCP-███-JP-B群は既に異常性を不可逆的に喪失していると考えられるため、収容の優先度は低く設定されています。

実験記録001-日付20██/06/██

対象:SCP-███-JP-AおよびDクラス職員4名

手順:専門の医療スタッフの指導の下、SCP-███-JP-Aにライノウイルス-███を注射。発症まで特別人型SCP収容所██に隔離し、発症確認後、SCP-███-JP-A に対し自身の症状をテキストとして記述するよう指示。回収されたSCP-███-JP-B-10を心身ともに健康なDクラス職員A~Dの4名に読ませ、当該Dクラス職員およびSCP-███-JP-Aの健康状態を以降1週間に渡り詳細に観察。

結果:SCP-███-JP-Aは注射からおよそ2日で上気道の炎症、くしゃみ、頭痛などの症状の発症が確認され、その後およそ4日で全快。Dクラス職員4名について、SCP-███-JP-B-10を読んでから発症までにかかった期間はいずれも24時間。いずれのDクラス職員も発症後はSCP-███-JP-Aと同様の症状を示し、検査の結果ライノウイルスへの感染が確認された。また、Dクラス職員4名はいずれも4日で全快。

補遺-1:20██/07/██、SCP-███-JP-Aは実験室への移送中に突然暴走し、警備員から武器を強奪し自殺しました。これを受けてSCP-███-JP-AのオブジェクトクラスはEuclidからNeutralizedに変更され、異常性を失ったSCP-███-JP-Aの死体はセクター-██の低危険性物体保管ユニットに収容されました。

補遺-2:20██/07/██、SCP-███-JP-Aに対して行われた実験001の被験者であったDクラス職員1名が突然精神的な恐慌を来たし、検査の結果インターネット依存症であると判断されました。また、複数回の調査の結果、当該Dクラス職員はSCP-███-JP-Aと同様の異常性を有していることが判明しました。これを受けて当該Dクラス職員はSCP-███-JP-A-2に分類され、SCP-███-JPのオブジェクトクラスはEuclidに再度変更されました。また、死亡したかつてのSCP-███-JP-AはSCP-███-JP-A-1に再分類されました。

補遺-3:SCP-███-JP-A-1の異常性がSCP-███-JP-A-2に伝播したことを受け、20██/07/██から20██/08/██にかけて、収容以前のSCP-███-JP-A-1の知人および収容以前にSCP-███-JP-A-1が所有していたSNSアカウントのフォロワーなどを対象に大規模な調査が行われました。その結果、新たなSCP-███-JP-Aが3体発見され、全て収容されました。その後の実験から、SCP-███-JP-Bを読みSCP-███-JP-Aと同様の感染性疾患を発症した人物は、およそ0.1%の確率で新たなSCP-███-JP-Aとなることが判明しました。

SCP-███-JP-Aの異常性はSCP-███-JP-Aが何らかの感染性疾患を発症している場合にのみ発現するため、現在でも未収容のSCP-███-JP-Aが多数存在していることはほぼ確実であり、またこの完全な収容は極めて困難であると考えられます。

これらを受けてSCP-███-JPの特別収容プロトコルが全面的に改訂され、またオブジェクトクラスはEuclidからKeterに変更されました。

仮にSCP-███-JP-Aが致死性の極めて高い感染性疾患を発症し、インターネット上にSCP-███-JP-Bが拡散した場合、予測不可能かつ極めて甚大な被害を人類社会に与える可能性が以前から示唆されていましたが、現在ではその危険性は極めて高まっています。SCP-███-JP-Bの重大な拡散が確認された場合に限り、███の███に予め仕込まれてある███を発動し、インターネットを一時的あるいは永久に封鎖することが許可されます。

艦これ創作「日報」

【注意】

・この記事は非公式で書かれた「艦隊これくしょん」の二次創作であり、原作ゲーム様とは一切関係ありません。

・この記事は、陸上自衛隊イラク日報にインスピレーションを受けて書かれたものですが、陸上自衛隊および防衛省とは一切関係ありません。また、大日本帝国海軍とも一切関係ありません。

・残酷な描写を含みます。苦手な方は「横須賀鎮守府日誌 12月31日」以降の閲覧を避けることをお勧めします。

・一部の艦娘をお好きな方にとっては不快感を催す可能性のある描写を含みます。苦手な方は閲覧を避けることをお勧めします。

・前述のような過激な表現を含みますが、特定のキャラクターを貶めたり侮辱する意図は一切ありません。

・文責は全て筆者にあります。

 

 

大湊警備府日誌 2月3日

雪かき

連日の雪にも関わらず、雪かき担当の初雪中尉以下3名が怠けていたため正門が雪に埋もれてしまった。通行に支障が出ているため、運悪く居合わせた敷波少尉ら10名を動員し雪かきを行うも、山村提督が先導して雪合戦を始めてしまい作業にならない。結局、1日かけて人ひとり通れるだけの道を確保した。(白雪)

 

鎮守府日誌 2月18日

出撃騒ぎ

龍大尉が腕試しと称し独断で出撃、大井大尉、北上大尉、木曾大尉の3人がかりで連れ戻す事態に。天龍大尉は1週間の謹慎処分を受け、小金井提督は軍令部に呼び出された。(如月)

ストーカー事案

北上大尉より、最近何者かにストーカーされているとの訴えを受け、龍田大尉が捜査を開始した。真っ先に疑われた小金井提督は潔白を主張しており、捜査は早くも難航している。(睦月)

 

佐世保鎮守府日誌 3月16日

プリン事件

川名提督のプリンが何者かに食べられてしまい、非常呼集が掛かった。目を合わせようとしない加賀中佐を問い詰めたところ、赤城中佐が食べてしまったとのこと。鎮守府総出で赤城中佐を探すも見つからず、その日の捜索は打ち切られた。夕食の直前に涙目の赤城中佐が出頭。全員分のプリンの奢りで手打ちになった。(響)

 

佐世保鎮守府日誌 3月17日

備蓄危機

鎮守府の食糧庫がほぼ空になっているのを初春中尉が発見。「昨日の潜伏中に全て食べてしまった」と赤城大佐は供述し、間宮アイスと引き換えに共犯者を売った。赤城、武蔵両中佐は2か月の減俸処分を受け、卯月少尉は提督のげんこつを食らうハメになった。(加賀)

 

鎮守府日誌 3月27日

ストーカー事案解決

北上大尉の着替えを盗撮していた大井大尉を捜査官が現行犯確保。調べに対し大井大尉は「これは純愛です」などと供述している。北上大尉は被害届を出さない意向。(睦月)

 

横須賀鎮守府日誌 5月9日

リュパータス少将の来訪

本日は米国海軍のリュパータス少将の来訪があるとのことで、朝から艦娘一同気を張っていた。三上提督との会談の後、少将が鎮守府内を見学したいとおっしゃったので隼鷹少佐が案内にあたった。少将は当鎮守府を大変気に入った様子で、また機会あれば訪問したいとおっしゃった。帰り際、少将の顔が少し赤かったのは夕日のせいだろうか。(不知火)

 

リンガ泊地日誌 7月6日

熱中症にはご注意

当地は夏を迎えますます蒸し暑いが、ついにと言うべきかあのボロの冷房が故障した。あまりの暑さに、金剛少佐などを筆頭に熱中症患者が続出している。青野提督は代わりの冷房を送るよう軍令部に要請したが、到着まで早くて1週間との返電。主に大型艦から不平が続出している。(叢雲)

 

舞鶴鎮守府日誌 7月9日

セクハラ事案?

龍驤中佐を駆逐艦と勘違いした久本提督、彼女の晩酌を注意して怒りを買う。

「君、駆逐艦だろう。酒はやめないか」

「あ?ウチは軽空母や」

着任早々の失態を犯した久本提督は泥酔し分別のつかなくなっている龍驤中佐の鉄拳を喰らって昏倒。この分だと当分龍驤中佐の怒りは冷めないだろう。(陽炎)

7月10日追記:両者酒を酌み交わし和解した模様。(陽炎)

 

大湊警備府日誌 7月31日

大湊の夏

鎮守府の皆は「大湊は夏涼しそうで羨ましい」などと言うが、大湊と言えども夏は夏、連日暑くて仕方がない。北方では夏に深海棲艦の活動が活発化する。今日も駆逐艦を5隻屠った。全く虫のように湧いて出やがって、奴らは暑いのが好きなのだろうか。とても相互理解などできそうにないなと思う。(初雪)

 

横須賀鎮守府日誌 8月15日

終戦から今年で93年

正午、先の大戦戦没者に黙祷を捧げた。酒飲みの隼鷹少佐も今日ばかりは素面で過ごしていたようだ。深夜、先の大戦の戦友らに盃を手向けていたのは彼女だけではあるまい。(三上)

 

鎮守府日誌 8月20日

コンビ?

天龍と木曾が話し込んでいる。珍しい組み合わせだと思って聞き耳を立てると、どうも眼帯の話をしているようだ。眼帯専門店とは一体……?(小金井)

 

リンガ泊地日誌 8月28日

食中毒者多数

夕食のカレーを口にした者がことごとく泡を吹いて倒れる。聞けば霧島少佐が休暇中であり、比叡少佐が厨房に立つのを止める者がいなかったとのこと。作戦遂行に重大な影響が出ている。(叢雲)

 

佐世保鎮守府日誌 9月19日

佐世保バーガー

鎮守府から徒歩3分の立地に佐世保バーガーが出店したとのことで、赤城中佐が猛禽のような目をしている。近隣住民との関係を考慮し、鎮守府では艦娘の外食を制限しているが、この分ではいつ違反するとも知れない。警戒を厳にしなくては。(加賀)

 

佐世保鎮守府日誌 9月20日

赤城中佐の処分

鎮守府中が予想していたことではあるが、赤城中佐が外食制限令を破り外食した。佐世保バーガーにて400個というケタ違いの量を注文したらしく、店からは苦情を持ち込まれ、川名提督は各方面に平謝りしている。赤城中佐は2週間の謹慎処分を受けた。(加賀)

 

鎮守府日誌 10月10日

この稿を龍田が読まないことを願って

駆逐艦娘らとかくれんぼに興じていたところ、龍田が鼻歌を歌っているのを偶然に聴いてしまう。誰にも言わないという約束で命を助けてもらったが、自分一人で抱え込むことができそうにないのでここに書く。龍田は日誌の細かいところまで読み込むタイプではないから大丈夫だとは思うが……。(小金井)

 

横須賀鎮守府日誌 10月31日

ハロウィン・パーティー

ハロウィンということで、駆逐艦娘らが仮装しており大変可愛く、思わずいたずらしたくなってしまったが、そこは戦艦の威厳というもの、ぐっと我慢した。佐世保から赤城中佐が来るとのことで身構えていたが、加賀中佐が同行しており、事なきを得た。(長門

 

横須賀鎮守府日誌 11月1日

声かけ事案発生

先日、複数の駆逐艦娘が黒髪で長身の人物に「いたずらしようか?」などと声かけされる事案が発生。憲兵隊では犯人を目下捜索中。(あきつ丸)

 

横須賀鎮守府日誌 11月3日

あきつ丸少佐泥酔事件

泥酔したあきつ丸少佐が執務室の床で発見される。酒に弱いあきつ丸少佐が自ら泥酔するまで酒を飲むとは考えにくく、何者かの犯行と思われる。(不知火)

 

大湊警備府日誌 11月5日

たわわメロン

山村提督のご実家から差し入れにメロンをいただく。夕張中尉が胸にメロンを入れ「夕張メロンー!」と騒いでいたが、誰もコメントのしようがなく、場は異様な雰囲気に包まれた。最近トラック泊地から移籍してきた愛宕大尉に思う所があったのかもしれない。夕張中尉は夜になっても自室から出てこようとしなかった。(白雪)

 

舞鶴鎮守府日誌 12月4日

BBQ大会

先日、技術局の飯島少佐と艦娘の飛鷹少佐が賭けの勝敗を巡って乱闘騒ぎを起こし、両人とも謹慎処分を受ける事態になったことを受け、人間将校と艦娘将校の親睦を深めるという名目で、久本提督発案のBBQ大会が催された。実際は単に提督が肉を食いたかっただけであると、当鎮守府の者なら誰でも知っている。綾波中尉が焼肉に抜群の腕を見せ、皆の尊敬を集めていた。(陽炎)

龍驤艦隊の大戦果

龍驤中佐率いる第二艦隊は、福井沖に出現した敵艦隊に三方から包囲されながらもこれを殲滅。近く叙勲されるとのことだが、本人は面倒がっており、久本提督が説得を続けている。人の好い提督のことだ、むちゃくちゃな条件を飲まされていなければいいが……。(陽炎)

 

鎮守府日誌 12月14日

釣り

鎮守府からの出撃は先月の哨戒任務を最後に行われておらず、一同暇を持て余している。本日は艦娘の大井大尉と技術局の野本大尉が連れ立って釣りに出かけ、ボウズで帰ってきた。不機嫌な大井大尉を皆で励ましたが、小金井提督の裸踊りはいただけなかった様子。みぞおちを殴られた小金井提督は情けない声を上げていた。(如月)

 

横須賀鎮守府日誌 12月20日

酒豪同盟

隼鷹少佐、足柄大尉、高雄大尉の3人による酒豪同盟は、風紀取締のため発令された禁酒令に連名で抗議を表明した。最近は深海棲艦の出現頻度も上がり、いよいよ戦況は厳しさを増していると言うのに、彼女らには海軍軍人としての自覚が足りないように思える。(不知火)

 

大湊警備府日誌 12月21日

初の大雪

今年もこの季節が来た。大湊では初の大雪で、人手をかき集めて雪かきをしている。初雪中尉が中々コタツから動こうとしないので、吹雪大尉がコードを引き抜いてしまった。気の毒に思いながら、ストーブの前でこの日誌を書いている。私は仕事だから仕方ない。(白雪)

 

横須賀鎮守府日誌 12月31日

緊急出撃

本日は大晦日であり、当鎮守府でも1年の締めくくりをゆっくり過ごすつもりだったが、敵艦隊発見との報に際し健在全艦に出撃命令が下った。敵艦隊は既に浦賀水道を通過し東京湾内に侵入しており、沿岸には戒厳令が布かれ、徹底した捜索が行われている。(不知火)

 

横須賀鎮守府日誌 1月1日

臨戦態勢の正月

敵艦隊の東京湾侵入から一夜明け、未だ我が艦隊は敵艦隊を発見できていない。正月ムードに浮かれているわけにはいかず、負傷している艦も回復次第投入されている。じきにローテーションが組まれる予定だ。一刻も早い敵艦隊の撃滅が望まれる。(不知火)

 

横須賀鎮守府日誌 1月3日

大規模侵攻

敵艦隊は予想をはるかに上回る大艦隊で侵攻、横浜市西区に「上陸」した。海岸付近に防衛線を構築し敵艦隊の撃滅にあたっているが、予想外の大勢力及び慣れぬ陸戦に我が艦隊は苦戦、防衛線は徐々に押し下げられており、他鎮守府へ援軍を要請している。(不知火)

 

大湊警備府日誌 1月3日

雪かき

ここ大湊では雪により警備府の機能がマヒしかけている。相変わらず総出で雪かきをしているが、かいてもかいても積もってくると流石に心が折れる。山村提督は横須賀と何やら連絡を取っていたが、向こうで何かあったのだろうか。何はともあれ、今は雪への対処が最優先だ。(白雪)

 

鎮守府日誌 1月4日

餅つき

北上大尉がどこからか調達してきた杵と臼で餅つきをした。やはりつきたては美味しいと評判。北上大尉のこねた餅を片端から確保していた大井大尉は小金井提督に注意されていた。(如月)

連絡途絶

横須賀からの要請を受け出撃した天龍大尉率いる第二艦隊及び木曾大尉率いる第三艦隊と、伊豆沖での定時連絡を最後に連絡が取れない。天候不順による一時的なものだとは思うが、少し不安である。無事だと良いのだが……。(大井)

 

横須賀鎮守府日誌 1月4日

危機的状況

救援未だ来ず。呉からは既に第二艦隊、第三艦隊が出撃したとの回答。大湊は昨日より連絡途絶。再三の要請にも関わらず、佐世保舞鶴は現在まで返電なし。防衛線は後退を続け、戦域は横浜市街に及んでいる。長門大佐率いる第一艦隊は奮戦するも被害甚大とのこと。隼鷹少佐率いる第二艦隊は「我が艦隊は敵に四方を包囲されている。戦況打開の術なし。救援乞う」との通信を最後に連絡途絶。深雪大尉率いる第三艦隊は逃げ遅れた住民を安全地帯に送り届けたとの報告を最後に連絡途絶。これ以上の継戦は非常に困難。陸軍の増援はまるで戦力にならず、このままでは首都陥落もありうる。既に首都圏では大規模な疎開が始まっているとの情報もあるが確かではない。(不知火)

 

大湊警備府日誌 1月4日

通信機器故障

大雪で断線したのか、昨晩からどことも通信が繋がらない。この雪では修理もできないので、困ったものだ。(初雪)

横須賀の状況

最後の通信によれば首都圏は敵艦隊の大規模侵攻を受けているらしい。以降の状況は不明だが、横須賀の艦娘たちは百戦錬磨の精鋭だ、必ずや首都防衛を果たすだろう。遠くから友軍の武運長久を祈った。(吹雪)

 

舞鶴鎮守府日誌 1月4日

福井「上陸」

本日未明、敵艦隊が福井市街へ「上陸」した。民間人に死傷者多数。初戦にて我が艦隊は甚大な被害を出す。各鎮守府に救援を乞うも、いずれも返電なし。通信の断線によるものと思われるが、確認の余力なし。危機的状況。本官は久本提督に福井市街の放棄を進言するも却下される。(龍驤

 

佐世保鎮守府日誌 1月4日

佐世保鎮守府失陥

鎮守府は未明からの敵艦隊の奇襲により壊滅。重傷を負った川名中将から私が指揮権を引き継ぎ、残存兵力を烏帽子岳に集結させた。市街に甚大な被害との報告を受ける。各鎮守府との連絡を試みるも、いずれも失敗。唯一リンガ泊地との連絡が繋がるも、救援まで1週間かかるとのこと。主力の加賀中佐が負傷した今、佐世保を奪還できるのは私しかいない。艦隊を再編し、明朝、奪還作戦を敢行すると全軍に告げた。先鋒に響中尉が志願。私も、彼女も、皆も覚悟を決めている。(赤城)

 

横須賀鎮守府日誌 1月6日

敵艦隊の撤退

本日正午、敵艦隊は突如として撤退を開始。観測隊によれば、日没までに全艦が太平洋へ抜けたとのこと。横浜市街はほぼ全域が壊滅、汚染は尚も進行しており、研究局によれば以後数十年に渡って復興は絶望的とのこと。我が艦隊はほぼ壊滅しており、残存兵力の収容が急がれる。(足柄)

 

大湊警備府日誌 1月7日

久々の晴天

本日は久々の晴天となり、警備府一同雪合戦に興じたが、山村提督は肉体の衰えを主張し早々に戦線を離脱していた。提督のくせに情けないことだ。暁中尉の奮戦により、雪合戦大会は白組が優勝。通信回線の断線部分の修復も始まっており、明日には通信が回復するとのこと。他の鎮守府に所属する姉妹と連絡を取りたがっていた吹雪大尉や初雪中尉、敷波少尉らから喜びの声が聞こえた。暁中尉も妹らに優勝を報告するのを楽しみにしているとのこと。私も久々に深雪の声が聴きたくなった。(白雪)

 

鎮守府日誌 1月9日

第二艦隊の消息

我が第二艦隊は伊豆沖にて壊滅。生存者1名。第三艦隊は包囲網を脱出し首都圏救援に向かうも、浦賀水道にて壊滅した模様。生存者は不明。(龍田)

横須賀鎮守府の状況

横浜市街への敵艦上陸を許し、東京侵攻は阻止したものの横浜市街及び艦隊は被害甚大とのこと。(龍田)

他の鎮守府について

佐世保艦隊は赤城少将、響少佐らによる決死の奮戦により佐世保市街奪還を果たすも、壊滅的被害を被ったとのこと。舞鶴艦隊は福井市街にて壊滅するも敵艦隊は撤退し、健在者の中で最高位であった飛鷹少佐が残存兵力の収容を進めていると通信があった。大湊は一時通信が回復するも再び途絶、以降現在まで状況不明。(龍田)